下向き人生に浮かぶあんバターバゲット
*人生は前にしか進まない*
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寺地はるな『ビオレタ』。

ビオレタ、というのは

スペイン語で「菫」を意味します。

その名の通り

菫さんという長身のクールな女性が

思い出のものを棺に入れて

店の庭に埋める、という

変わった商いをしている

雑貨屋さんをやっています。

その菫さんに

主人公の妙は

婚約者に婚約破棄され道で泣いているところを

こんなところで泣くような、惨めったらしい、泣き方はやめなさい、

不幸な自分に酔うようなことはやめなさい、

と厳しいことを言われながらも雨の中救われます。

その縁から

菫さんの棺を売る雑貨のお店で妙は働くことになります。

妙は知らなかったのですが

菫さんのお使いで

ボタン屋さんに行くのですがその店主の

千歳さんという男性とさみしさを紛らわすため

つきあうことになります。

でも

千歳さんは菫さんの元旦那さんでした。

その二人の間には

蓮太郎君という男の子がいて

そこで始まった不思議な人間関係の中で

物語は進んでいきます。

妙は元の会社でちょっとしたいじめにあっていて

しかも婚約破棄されるという痛手を負い

仕事も失うという女の子なのですが

結構、この子が

よろめいてなくて

男子のようにハキハキしていて自分の考えや思いを

表現していくのですが

それがこの本の主軸となっているのですが

妙のことばひとつひとつが

この本の中の一番の読みどころかなと思います。

妙が色んな不幸からゆっくり前を向いて生きて行けるように

なる過程がユーモラスに語られて行きます。

確かにビオレタという雑貨屋さんは

そんなにたくさんお客さんが来るわけでもなく

妙を雇う余裕があるのかな?とも思うし

ちょっと現実離れしている部分も色々とあるけれど

気にならないくらい物語が面白くて展開が早くて。

妙は自分と家族の関係のことでも悩んでいたけど実は家族みんな

妙のことを心配していて

ビオレタにかかわる人たちも

妙に変な気を遣わず正直に思ったことを言います。

そこで妙は大切なことにたくさん気づきます。

特に

とりあえずと思って妙がつきあった千歳さんという男性が

小さいボタン屋さんをしていてお金はないけどとても心がすこやかな、

女性に優しいのでもてる男性で

読んでいて

妙は28歳、千歳さんは45歳、

妙と千歳さんの関係が今後どうなっていくのか、、

というのが楽しみでした。

徐々に妙の心も

千歳さんのことを本気で好きになっていくようになり

周囲の人たちや、ビオレタに訪れる

「過去を棺に入れて葬り去る儀式をしたい人たち」の背負っているものを考えられる余裕も出てきて

千歳さんや菫さんことや、蓮太郎君のことも客観的に考えられる女性に成長していきます。

つらいことがたくさんあった分、

ゆっくり心を取り戻していく妙。

すごくいいものを手にできた感じ。

それは菫さんとの出会いがなければ

どうなっていたかはわからないですが

菫さんとの最初で会うシーンが

印象的で

初めから心をとらえられます。

菫さんもまた不器用でクールで料理も計算もできないけれど

とても魅力的です。言葉はきついけどいつも言うことは的を得ています。

キャラクターが生き生きしているから

話も読みやすく

文章もユーモラスで

何度も読み返してしまいました。

恋愛小説、と呼ぶにはちょっと

趣が違うかな、、と個人的には思って

どんなジャンルになるかなと思うと

気づかれないように色んな要素を入れて読者を励ます、

励まし系の小説かなと思いました。

温かい気持ちにさせてくれる

小説でした。

寺地はるなさんは

この作品でポプラ社小説新人賞を受賞されていらっしゃいます。

この賞はエンターテインメント系の小説が対象なので

エンタメ好きの方にはおすすめかなと思いました。

そして

落ち込んだ時、いいことがないとき

たぶん、読むと元気が出るかなと思いました。

重い描写はあんまり出てこないので

構えないで読めていく感じかなと思います。

私もこの本と出会えてよかったです。

励まされてしまいましたヨー(❁´◡`❁)

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色々暗いことが多いご時世だけれども

本の中には

色々な物語があって

ハッピーエンドの世界があったりして

ハッピーエンドでなくても違った形でも

ソーリーエンドでも

そこに行けば現実生活の中には

見つけにくい

生きていくのに

必要な

何かがあるって

素敵なことだと思います。

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ABOUT ME
chiho*
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日々の記録と想いとパン作りと本と料理と 下ばかり向くモノクロな日々に 色を探して